
「自立」が魅せる人生のライフハック
- Umi Yamaguchi
- 2021年3月30日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年4月28日
本サイト『SELFISH CLUB』で執筆していくにあたって、私はわたしを救うための言葉を綴りたいと思っている。あわよくば、同じような誰か、も救いたい。あなたに、空を仰げる余裕を少しでも与えられたなら。そんな想いを馳せて。さあ、初回です。
「自立」。それは立派な大人でいるためのミッション。自分は地に足をつけて歩めているのだろうか。ここ数年、常に頭の片隅において過ごしていた。生活面、人間関係、金銭面、全てにおいて。よく耳にする「自立した女性」になりたいと。
——誰かとの関係に縛られることもなく、家族や兄弟、ペットや友達もいない。自分の足で立つ瞬間に、真のシングルになる。その輝きはほんの一瞬だ。
これは、映画『How To Be Single』で語られている一部なんだけれど。

「Single」は独身で、パートナーもいない状態。日本でのタイトルは『ワタシが私を見つけるまで』とされている。直訳的に言えば、独りのハウツーってところ。 兄弟やペットもダメですか。ちょっと道のり厳しいんじゃないんですか。そう思わない?
だけれどたぶん、このメッセージのミソは、
"その輝きはほんの一瞬だ"
ここに詰まっているのだと思う。
よく言うよね、愛と執着は紙一重だとか。だけれど、感情を自己判断することはとっても難しい。加えて、人が一人で生きていくというのは到底無理だって思う。生きている中で、少なからず誰かに助けてもらっている事項が存在しているはず。
でも、どうしても。どうしても一人で歩まなければならない瞬間もある。 誰もいなくて、もしくは誰かの手を振り払って、人生を進めていく時間が。
その時間って、人生の中にどれだけあるだろう。
語られている台詞は、「自立」を称賛し促しているわけじゃなくて。一人で歩く限られた「自立」の時間を、大切に楽しみなさいという意味なのかもしれない。
日本の心理学者、故・河合隼雄は自書の中でこう述べていたりする。
——自立しているものこそお互いに接触し、頼るべき時は頼って生きているが、十分に自立していない人間は、他人に頼ったり、交際したりするのを怖がる。 『働きざかりの心理学』より

頼らないってことじゃなくて。 一人で、何でも出来るってことじゃなくて。 きっと頼ることが苦手な人って多い。もちろん反対に、ひとりじゃ何もできない人もいるけれど。
人との接点を怖がったり、頼ることを躊躇してしまった時点で、「自立」とは真逆の行動に繋がっているのかもしれない。自立を目指していたはずなのにね。 思い当たる節がありすぎて、ちょっと胸が痛いですけれども。
偉大な心理学者、河合隼雄。彼はこうも言っている。
——自立ということは、依存を排除することではなく必要な存在を受けいれ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝していることではなかろうか。 『こころの処方箋』より

依存するほど大切な何かを認め、感謝する。これって究極の形なのかもしれない。 依存を容認するだけであれば、それは最も「自立」から遠いのだと思う。依存を、感謝というプラスエネルギーに変えて消化しているからこそ成り立つ「自立」の形。
ああ、私は「自立」を勘違いしていたのかもしれないな。
ひとりでご飯を食べるとき。 消耗品を買い足しへ行くとき。 彼氏と別れたとき。 友達と予定があわず暇なとき。 母にディナーをご馳走するとき。 仕事でうまくいったとき。
あの日の私はどうだっただろう。そんなことを考えても、目の前にあるのは今だけだ。 「自立」とは、あくまでナチュラルに、そして陽気に存在しているのかもしれない。
Umi Yamaguchi
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