「私の夏休み」
- Umi Yamaguchi
- 2023年9月7日
- 読了時間: 6分
職も住居も変わって初めての夏が終わろうとしている。
想うエモーショナルは多々あるけど、来たる夏の終わりはサラッと平坦にこなしたいので、少しふざけちゃうことを許してほしい。
今年の夏いちばんの思い出を考えてはみたものの難しい。
今年も何かしたくて毎日ふたりはソワソワしてる〜♬
という歌に共感の声が集うのだから、雑な日々にこそ夏は詰まっている。のかもしれない。
ということでテーマは「Instagramに載らない夏」。インスタなんてパフォーマンスだ、と常々言っている私が過ごしたささやかな夏をお届け。
夏は短い。物足りなさを残して去っていくような、愛おしく憎たらしい季節。
そんな今年の夏も恒例の如く、神奈川県葉山市にある海の家「oasis」に頻出した私。

友達数人で訪れ、波と音楽、お酒に浸る。今年は盛れた水着の写真がひとつもない。というか写真が少ない。
それだけ楽しくて楽しくて、万物の境界線が曖昧になってしまう感覚に満ちる。熱めの湯船に浸かった瞬間のように、周囲の匂いや感触がじんわりと染み込み肌と一体化する。
まったく、いつだって手放すべきは携帯電話だと自身に喝を入れたい。
それでもこの写真はあってよかったと思う。

土下座のようなポーズをとる友人を囲む真顔の友人達。注意書きとなるが、これは土下座をしているわけではないし、こんな遊びをしているわけでもない。
ただこの時の私はネイチャーと一体化しているので、今この写真を見ても覚えていない。たまたま撮れた、これこそネイチャーかも。いわばタイミング。

海の家「oasis」は、穏やかな海とサンセット、そしてレゲエが好きな人にはたまらないスポット。フードも美味しくてジャークチキンは絶品。甘くない揚げドーナツ、フェスティバルがもちもちで最高。また来年もお願いします。
友人と曳舟〜浅草まで、散歩に出かけたこともあった。

夜でも人は割といたけど、賽銭箱に五円を投げ込み、見えぬ誰かに手を合わせる。何を伝えたっけな。だけどこの日も友人は、コンビニで塩おにぎりを買っていたのを覚えている。水とか塩とかに還りたくなる、そんな年頃なのかもしれない。
なかなか実家に帰ってこない私を見兼ね、母が泊まりに来た日もあった。
要望に応え、数年ぶりに品川の水族館を楽しむ。何度来てもテーマパークのようなライティングとアトラクション。いくつになってもイルカショーにワクワクする。エイのエラは苦手だ。

猛暑と連勤明けのダブルパンチを受けながらも、母の幸せそうな顔に安堵する。
そうそう、友人の働くお店に母を連れて行った。ビールと牡蠣をつまみながら、カウンター越しに二人が喋る。酔った母が「友達に会わせてくれて嬉しい!」とニコニコしていたのが小っ恥ずかしかった。
肉親を気兼ねなく会わせられる東京の友人がいることは、私の自慢。みんなが私の自慢。
連勤に耐えられず高熱も出した。おかげで地元に帰れず少し落ち込んで、冷えピタの自撮りまでしたけど、こんな時ほど優しさに敏感になる。
「体調どう?」と逐一聞いてくれる遠く離れた幼馴染は、最近禁煙に成功したらしい。

これはさくらちんが買ってきてくれた桃。「誰かと一緒に桃が食べたい」と私が嘆いていたら買ってきてくれた。

前日からSCの諸々を決めるために合宿していた。夜中何時間もかかってしまい、深夜2時に「眠い!」と発狂しながら西野カナを熱唱するほど奮闘した日の翌朝。
アラーム画面をスクショしつつ疲労とともに起きると、「桃あるよ」と女神の一声。テンションがピークだったから、もしかしたらその時の様子はInstagramにあげていたかも。
そしてこれ。バスケットボール日本チームのパリ五輪出場決定。48年ぶりとのことで、それはもう感動の嵐。チーム戦のスポーツにめっぽう弱い私はもちろん泣いた。

感動をありがとう。
今年「スラムダンク」が映画化したことも必然だったのではと思うほど、全てが日本チームを後押ししてくれていたような気がする。
渡邊雄太さん好きです。スラダンならみっちゃんが好き。あひるの空ならトビが好き。
地元のクラブSouth BBCで、10〜20代の時に遊んでいた同士が集まってパーティーをしたりもした。
数年ぶりに見る仲間、先輩、そしてロケーション。かなりの時間を費やしてきた場所と、愛変わらない同士達。

正直に言ってしまえば、クラブの中にいる時より、駐車場で丸くなって座っていた時間が濃く残っている。
定番だった締めの家系ラーメン、山岡家の通路越しに座るみんなの顔が脳裏をよぎる。エントランススタッフの私をからかうジョークが恋しい。友人と懐かしい曲を聴いてあの頃に涙ぐみたい。

青春を共有した同士が集まれたあの日、たくさんの愛を産出させてもらった。何かあれば、いつでも駆けつけるからね。ありがとう、また会おう。
そしてBlooming Indigoさんの個展。
地元・静岡に戻っていたさくらさんが東京で個展するとのことで、最終日のクローズ時間ギリギリに訪れた。

内面を多少知っている人物ではあっても、それを加味せずに、作品が発するエネルギーが凄まじかった。繊細で、力強くて、さくらさんの葛藤が刻み込まれてる気がして鳥肌が立った。熱量がほとばしっている。映画「BLUE GIANT」の演奏シーンを鑑賞している時と同じ感覚を覚えた。
会おう会おうと言いながらスケジュールが合わず、今回会えて本当によかった。愛に決まった形はないと思っているけど、私が認識する愛を、彼女は溢れるほどに持っている。本当にお疲れさまでした。
世間的には「夏休み」をお盆の時期とすることや、それに紐づいた代休を指すことが多い。が、今年の私にそんな連休はなかった。
それでも今思い返すと、充分夏を堪能しているほうだと思う。
少し話はずれるけど、こんな言葉を見かけたことがある。
「可愛い女は誰でも抱けるけど、好きな女はなかなか抱けない」
これはどの事柄にも当てはまると思っていて、この感覚がいわゆるSelfish(自己中心的)でいるために必要になってくる。
海に行く、BBQをする、旅行をする。そんな定番の夏は、健康で時間がある大半の人なら誰でも出来る。
それよりも、自分の夏を"感じる"ほうが実際は難しい。
お風呂に入る前にジュースをキンキンに冷やしておいてみたり、窓から覗く青を見てから二度寝したり。居酒屋の店主がはちまきをしていたり、子供の汗で張りついた髪の毛をお母さんが雑に拭いていたり。
私の周囲にはそんな「密かに紛れる夏」を感じられる天才が多くて、いつもその才能を分けてもらっている。どこもかしこも捉え方次第。世界は自分で作り出せる。夏も愛も自分で見つけろ。そんな感じだったのが今年の夏。
だからやっぱりここに書いたのはほんの一部。私の夏は私だけが知っている。
みんなにもそれぞれの夏があるんだろうな。
今年の「夏」も健やかに過ぎていきますように、願いを込めて。冬は一緒に鍋しよう。
まあ、私の人生ずっと夏休みだけどね〜

Umi Yamaguchi
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